2008年01月19日

●CoffeeTripp Vol.42「比類なきクロスオーヴァー・スタイリスト - Joni Mitchell」(08/01/17)

Joni Mitchellの70年代作品と出会ったのは、10代の終わりに渋谷にあったSwingというジャズ喫茶でのことでした。
確か1960年代からやっている店で97年には閉店してしまったので、僕が行っていた頃はもう最後のほうでしたが、カランカランと鳴るドアを開けると薄暗くカビ臭い店内にでかいプロジェクターとスピーカー、所狭しと飾ってあるジャズミュージシャンの写真、冷えすぎた(そしてたまにぬるい)ビールとおつまみのセット、薄いコーラ・・・渋谷の安っぽい喧噪からドアを隔てて60年代に迷い込んだかのような、まさに時空を超えた空間。
そこで見たのが「Shadows and Lights」のライブでした。

今は亡きJaco、Brecker、Alias、そして珍しくストライプシャツを着ていない黄色いMethenyにLyle Maysというメンツを自在に操る大女(失礼!)、これは誰なんだ!というのが第一印象でしたが、フォーク、カントリーをクロスオーバージャズとミックスさせたサウンドが強烈に印象に残り、翌日からレコード屋を漁って入手したのが「The Hissing of Summer Lawns」「Don Juan's Reckless Daughter」そして「Hejira」でした。
(肝心の「Shadows and Lights」のビデオはなかなか見つからず、翌年アメリカ旅行をした時に行く先々のレコード屋で探しまくり、シカゴのレコード屋で入手することが出来ました)

この3枚は言うまでもなくどれも素晴らしいのですが、
果てしなく広がる北の荒野を旅するロードムービーを聴いているかのような「Hejira」。
今回はこの作品をご紹介したいと思います。
1976年発表の本作タイトルは、アラビア語のHijra(イスラム教の開祖ムハンマドの622年のマディーナへの移住のことを指す)を英語に音訳した言葉で、邦題は「逃避行」となっています。
ジョニ本人いわく、自ら一人旅をしている間に書かれたアルバム、とのこと。
北の大地に広がる銀世界を思わせる冷たさの中に、その大地を独り旅する人の体温や孤独感といった甘い温もりが感じられ、1曲1曲が確実な存在感をもって心のなかに染み込んでいきます。

日常の喧噪を離れ、自分を見つめたい気分の時に聴いてみてほしいアルバムです。


【2008.1.17 Air-play】
1.Coyote
2.Black crow
3.Amelia
4.Hejira
   〜/Joni Mitchell
★今回のオープニング&エンディング曲
『Ritual Fire Dance(Future-Red Mix)-“恋は魔術師”より「火祭りの踊り」』/RoundTripp

★FM AZUR「CoffeeTripp」毎週 木曜10:00(再放送 土曜 22:00)

↓Amazonに試聴音源アリ!↓

2007年12月22日

●CoffeeTripp Vol.38「カリビアンとスパニッシュの新しい融合〜Michel Camilo & Tomatito “Spain”」(2007/12/20)

僕がはじめてミシェルカミロの音楽を聴いたのは大学生の時。
その頃、学内ビッグバンドの凄腕ドラマーの先輩とよく部室で2人で音出ししてたんですが(今思うと15時過ぎぐらいから平気で5〜6時間ぶっ通しでやっていて、その後中華料理屋でメシ食って一杯やって帰る、というのが定番パターンでした)、
その先輩に「これ聴け〜」って渡されたのがミシェルカミロの「On Fire」でした。
ジャケ写真は落ち着いた繊細な雰囲気のカミロが写っているのですが、CDを聴いたときはその演奏の凄さ、そして写真とのギャップ(笑)も相まって、かなり聴きまくった記憶があります。
(あとその先輩とのセッション時にミシェルカミロ周辺の曲からリズムを指定される事が多く、それについていく為にも聴き込まざるを得なかったという・・・)

今回CoffeeTrippでご紹介するのは、2000年に発表された、フラメンコギタリストのトマティートとの共作「Spain」。
僕が考えるミシェルカミロの魅力は、ヨーロッパ的なジャズ〜クラシックの繊細さや耽美的な部分とラテン系の豪快なスタイルが融合されているところだと思うのですが、
このアルバムではその魅力がまさに円熟期を迎えている、という感じがします。
そしてトマティートもトラディショナルなスパニッシュ〜フラメンコスタイルを踏襲しながらも、熱すぎない。ジャズ的なハーモニーやリズムの感覚が絶妙にブレンドされた新世代スタイルのギタリストであり、この2人のコラボレーションが生み出す音は偉大なルーツミュージックを新しい局面に昇華させた、真にオリジナルな雰囲気を放っています。
このクールさは、アストル・ピアソラが旧来のタンゴというジャンルを超えて打ち立てた、あのオリジナルな世界観に通じるものがあると思います。

アルバム内の曲は有名なコリアの「Spain」やラテンスタンダード「Besame Mucho」をはじめ、どれも素晴らしい演奏ですが、
個人的に秀逸と思うのはアルゼンチンのギタリスト、Luis Salinasのペンによる曲。
2人のタンゴの偉人-アニバル・トロイロ(ピアソラが最初に所属したタンゴバンドのリーダーでもある)そしてオラシオ・サルガンに捧げた「Para Troilo Y Salgan」は、
曲のもつルーツミュージックの土臭さと、カミロートマティートの個性が実にいいバランスで共存した傑作だと思います。
------------------

【2007.12.20 Air-play】
1.Spain Intro〜Spain
2.La Vacilona
3.Para Troilo Y Salgán
  〜/MICHEL CAMILO & TOMATITO
4.Rhythm of Nature/RoundTripp
※FM AZUR「CoffeeTripp」毎週 木曜10:00(再放送 土曜 22:00)

↓Amazonに試聴音源アリ!↓

2007年12月01日

●CoffeeTripp Vol.35「フランスのミュゼット〜哀愁のアコーディオンとジプシーギター」(2007/11/29)

旅行、休日、くつろぎのひととき・・・CoffeeTrippは最高の時間を過ごすのにぴったりの素晴らしい音楽をご紹介します。
-------------------
今週はアコーディオンの哀愁を帯びた音色、ジプシースタイルをベースにした情熱的なギター(いわゆるジャンゴ・ラインハルト・スタイルですね)が絶妙の味わいを醸し出す、フランスのミュゼットの特集です。
ミュゼットの発祥は19世紀初頭。パリにヨーロッパ各地からの移民がやってきた時代です。イタリアからの移民がアコーディオンを持ち込んだのがきっかけとなって、アコーディオンとギターを中心としたアンサンブル・スタイルが徐々に確立されていき、20世紀初頭にはパリを中心に大流行しました。
当時のパリ庶民は、哀愁溢れるミュゼットが流れる下町のバル(bal=ダンス酒場)で踊り語らい、そして酒を酌み交わしたことから、バル・ミュゼットという言葉で呼ばれていました。

音楽的にみると、時代の変遷とも併せて様々なジャンルからの影響が垣間みられます。
リズム的要素で見ると、往年のワルツ(Valse)を中心に、ポルカ、タンゴ、また最近ではブラジル音楽をルーツとするもの(今回オンエアの「Afro-Musette」もその一つです」が取り入れられています。
またハーモニー的に見るとブルース、ジャズ的な要素も多分に含まれ、まさに人種のるつぼ的な様々な音楽要素が反映されたワールドミュージックとして、非常に魅力的なものです。

そんなミュゼットの主役は、何と言ってもアコーディオン。
アコーディオンという楽器もミュゼットと同様、時代の変遷とともに大きく変化してきた楽器であり、演奏方法、キー(ボタン)の配置、そして発音の仕組み等の違いにより様々な種類があります。
それら細部の微妙な違い故にサウンド、フレージングのニュアンスが各々独特の個性を持っていて、それがこの楽器の味わいであり、またミュゼットの各曲に魅力を与えているといってもいいと思います。

ダイアトニック・アコーディオン
アコーディオンとしては初期に開発されたもので、ボタン式です。メロディオンと呼ぶ事もあります。ダイアトニック(diatonic)の意味は「全音階」、つまりピアノで言うと黒鍵にあたる半音は出せないため、曲のキーによって楽器を選択します(モデルによっては半音が出るアクシデンタルキーがついています)。発音の仕組みは蛇腹を押すときと引くときで違う音階が出るようになっていて、その構造ゆえの独特のフレージングがこの楽器の個性となっています。ピアノ・アコーディオンなどに比べると構造が単純で軽量、音量も大きく、シンプルで明るい楽曲や、屋外演奏で用いられる事が多いです。

クロマティック・アコーディオン
上記のダイアトニック・アコーディオンを改良したもので、ピアノと同様に半音階も出すことができるものです。最近ではこのタイプが最も一般的なようです。
発音はダイアトニックタイプとは異なり蛇腹を引くときも押すときも同じ音が出ます。メロディーを演奏する右手は旧来のボタン式のものと、ピアノ型の白鍵黒鍵式のものがあります。(鍵盤式がメジャーで、ボタン式は特注のようです)

その他、モデルにより独自のキー配列を有し、演奏が実に難しいバンドネオンや、シングルリードによるシンプルで澄んだ音色が美しいコンサルティーナ等がありますが、
理屈は抜きにして、まずはこの魅力的な音に、ぜひ触れてみてください。
前述のジャンゴ・ラインハルトも多くのミュゼットナンバーを演奏していますし、今回3曲目にオンエアの「accordion」(タイトル通りアコーディオンをたたえた歌です)は、セルジュ・ゲンズブールのペンによるもの。
まさに「フランスが愛した音」である証ではないでしょうか。

【2007.11.29 Air-play】
1.Richard Galliano - 極上のワインに捧ぐワルツ(La Valse a Margaux)
2.Pierre "Baro" Ferret - Panique
3.Serge Gainsbourg - Accordéon
4.M.Azzora/R.Galliano - Afro-Musette
5.Bordeaux(FTP Edit) - RoundTripp

※FM AZUR「CoffeeTripp」毎週 木曜10:00(再放送 土曜 22:00)

2007年09月08日

●CoffeeTripp Vol.23「September Moon #1」(2007/9/6)

2日ばかり、那須高原に行っていました。

学生時代に行った時の印象で、いわゆる「観光地」的イメージを持ってましたが、
今回滞在して思ったのは、町全体として盛り上げて行こうという地元の方々の活力と、それを下支えする市、町、自治体等の協力的な姿勢があるなということ。
そしてメジャー、マイナー、アマチュアを問わず、クリエイティブな活動のためのバックグラウンド醸成に力が入れられていること、でした。
それが理由かどうかはわかりませんが、那須にいる人達はくつろいでイキイキとしていました。

東京に帰ってきたら、東京の方が都会のはずなのに、さびれている場所のように感じました。
時間も人もあんまり早く動きすぎると、疲弊するのでしょうか。

さて今月前半のCoffeeTrippは、十五夜を控えているということで、
「月」にまつわる楽曲を特集してお届けしていきます。
今回はその第1回。

この特集のお陰で、シナトラのこの曲を思い出してかけることが出来たのがうれしかったです。


【2007.9.6 Air-play】

1.How high the moon/Dianne Reeves
2.Orange moon/Erykah Badu
3.Old devil moon/Frank Sinatra
4.Full moon low tide/Stephen Jones and Bryan Kessler
6.Moondrops/RoundTripp
※FM AZUR「CoffeeTripp」毎週 木曜10:00(再放送 土曜 22:00)

2007年08月25日

●CoffeeTripp Vol.21「ギターデュオ・ゴンチチSpecial」 (2007/8/23)

旅行、休日、くつろぎのひととき・・・CoffeeTrippは最高の時間を過ごすのにぴったりの素晴らしい音楽をご紹介します。
-------------------
CoffeeTripp、8月23日のオンエアリストです。
Gontitiさんは高校の時ラジオで流れてるのを聴いて「おっ!」と思ったのがきっかけで、それ以来好きなんです。
まだ国内でそんなにブラジル音楽とかがメジャーじゃ無い頃に「快適音楽」的な括りで作品を発表していて、今思うと実はかなり新しかったんじゃないでしょうか。
あとアレンジが結構独特で、こういうジャンルの音楽と馴染まないと考えられがちな80'sっぽいテイストがかなり入ってたりとかいうのも、個性的に感じたものでした。
今聴いてもなかなか新鮮です。ありがちなカフェボッサやハワイアン系に飽きた方に!

【2007.8.23 Air-play】

1.General Trend
2.Canal Tune
3.アンダーソンの庭
4.Coati's Nap
5.修学旅行夜行列車南国音楽
/ GONTITI
4.A day out !(Acoustic version)/RoundTripp

※FM AZUR「CoffeeTripp」毎週 木曜10:00(再放送 土曜 22:00)

2007年08月03日

●CoffeeTripp Vol.18「Hawaiian Slack Key Guitar」 (2007/8/2)

旅行、休日、くつろぎのひととき・・・CoffeeTrippは最高の時間を過ごすのにぴったりの素晴らしい音楽をご紹介します。
-------------------
暑い日が続きますねえ。
僕はエアコンつけっぱなしで寝るのがダメなんで、最近は枕の下にアイスノンを敷いて寝るのが定番になってきています。
寝苦しい夜って、何が暑いって枕(つまりは頭ですね)が暑いんですよ。
それで汗はかくし、眠りも浅くなってしまう。
でもアイスノンを敷くだけでほんと快眠!
寝苦しい夜を過ごしている方、オススメです。

さて8月のCoffeeTrippですが、
7月の「夏だライブ特集」に続き、さらに暑い8月を乗り切るべく、
「夏を涼しく過ごそう!リゾート・ミュージック特集」

「冷房が無くても部屋が涼しくなる音楽」をお届けします!

第一回は、やはりリゾートといえば古今東西の定番である「ハワイ」。
そのハワイで1800年代後半より代々引き継がれる独自のギター奏法「Slack Key Guitar」による素晴らしい演奏を特集してお届けしました。
もとはヨーロッパのカウボーイがハワイの農場に持ち込んだギターを、ハワイの人々が独自のチューニングで演奏しはじめたのがきっかけである「Slack Key Guitar」。
日本語に直訳すると「緩いキーのギター」になりますが、
スタンダードなチューニングを知らないハワイの人々が「より楽にいい音が出せる様に」と普通のチューニングより低くチューニングして弾きはじめたことから、この名称で呼ばれる様になったとのこと。

「ハワイ」「ギター」というと、やはりあの「キュイーン」のスライドギターとフラダンス・・・を思い浮かべてしまうが、Slack key Guitarのサウンドはそれとは異なり、素朴なハワイの田舎、1930年代のカウアイ島のような古き良きハワイを連想させる涼しげなサウンド。
緩くチューニングされたアコースティックギターの鳴りは、普通のギターよりもゆったりとした「風」を感じることができます。

何ていうか「自分の悩んでる事なんて小さいなあ」と思えてしまう、そんな音です。


【2007.8.2 Air-play】
1.Ku'u Kika Kahiko (My Old Guitar)
2.Maui Medley
3.E Ku'u Morning Dew
4.Ke'ala's Mele

※FM AZUR「CoffeeTripp」毎週 木曜10:00(再放送 土曜 22:00)